仮面ライダービルド Dark Side Story ~石動惣一を考える~

今日は、仮面ライダービルド Dark Side Storyと題してビルドの裏方の人物について、私なりに綴っていこうかなと思います。
あれ?なんかこのタイトルどっかで見たことあるな。そう思った方、鋭い!
そうなんです。実はこれ、以前に『仮面ライダー~My Dark Side Story』という記事で書こうとしていたことなんですが、前置きで語りすぎ、思いのほか長くなってしまったので前置き部分を一つの記事として投稿したのが、それになるんです。以前の記事も貼っておきますので、よろしければ。

 

projectf79.hateblo.jp

 と、いうわけで。今回は仮面ライダービルドの裏方を語るには外せないこの人
石動惣一・ブラッドスタークから、私の思いを綴っていこうかなと。

 まず、反論覚悟で申し上げますと、悪役好きの私としては、「彼のようになりたい!」これが第一感。もうすでに色々と言われそうですが、それでも私は、彼のようになりたいのです。良き”おやっさん”ポジションでありながら、目的のために平然と戦兎や龍我、さらには実の娘である美空までも利用し、幻徳や北都首相多治見すらもコマとする。等々 物語中で起こる出来事や事態悪化の根源はほぼすべて彼だというのに、なぜそれを分かっていてもなお、私は、彼のようになりたいと願うのか?それは簡単です。

「人を見るのが上手いから」これに尽きます。

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第14話で砂羽が「10年前までは、気さくで正義感の強い性格だった」と言っていました。これはおそらく、石動が戦兎たちにしてきた振る舞いからしても、嘘ではないと思われます。問題はここから。砂羽の発言を細かく分析してみると「10年前までは、気さくで正義感の強い性格だった。けど…」と続きそうです。けど…の後になんと続くのか。「けど、そこを境に人が変わってしまった」とかなのでしょう。そして、人が変わった と言うのはおそらくですが、前述した『目的のためなら手段を選ばない、時が来たら、あっさりと身を引く』というのが、これに当たるのかなぁと。

 

ここからは推測の域を出ませんが、彼は砂羽も言っていたように、もともとはお茶目で明るいおとぼけキャラというのが素で、10年前、火星に降り立ったとき、彼のこれまでを一変させてしまうような何かを見た、あるいは起こったと考えられます。
私が思っているのは、18話でスクラッシュドライバーの副作用は、パンドラボックスの光と同じ=好戦的気質を剥き出しにし、欲望を抑えられなくなる(アドレナリンの過剰分泌)とは違うということ。多くの考察サイトなどを見ていると、「幻徳は、パンドラの光を浴びたから、おかしくなった」など。パンドラボックスの光を浴びた→制御がきかなくなり、精神的に変化するという説が多いような気がしますが、惣一に限っては私はこれを否定して見ています。特に、我欲に忠実に気性を荒立てる などという描写がないですし、各話の行動を見ていても、何か目的を明確に持って、その達成のために動いている。こちらの方が強いのかなと感じます。

私が彼を尊敬する理由の一つがコレ。人の意見や主張も組み入れながらも、それに流されない『明確な目的』を持っている。私は高校のころ、担任の先生に相談すると、「自分の意見をしっかりと持て。そうしないと、周りに流される」と言われました。今でもなかなか自分を持ちづらい私にとっては、惣一さんは、あこがれの存在です。

 

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さらに彼は、頃合いを見て人を裏切る(厳密には少し違うのですが)都合上、他人からは恨みつらみを買いがちです。そんな時に火の粉がふりかかるのを最小限に留められるよう、彼は「人をよく観察している」んだろうと思います。
例えば、この人は怒りっぽい性格だから、話をするときは、やんわりと本題に入っていかないと。
この人は頭がカタいから、向こう側が飛びつくようなネタで気分を持ちあげてから要求を通してもらおう とか。ぱっと思いつくのはこれぐらいですが、みなさんもこんな経験一度はしたことがあるんじゃないでしょうか。
さらに彼がすごいと思うのは、こういった思考を「相手と話しているまさに”リアルタイムで行える」ところ。  人間誰しも前もって この人はこういう人だから僕がこう言うと、こんな感じで返すだろうなぁ。と予測はしやすいものの、いざ面と向かって話してみると、予想外な返答にたじろいだり、意識しすぎた挙句、テンションが暴走して疲れたり。なにも日常生活に限らずとも、交渉中、相手にこちらの言い分が通らず、ついカーっとなって言い過ぎたりetc…。なかなか相手と話している”その時”に顔色や状況を見ながら話すというのは至難の業です。それが出来るということは、やはり「人を見るのが上手い」から出来るんでしょうね。

 ところで私は先ほど、頃合いを見て人を裏切る の後に()で括って、厳密には少し違うと書きました。どういうことか。それは惣一さん自身が22話で言っていましたので、彼の言葉を借りると、「勘違いするな。俺は初めからアンタの味方じゃない」ということです。付け加えるならば、「勘違いするな。(アンタが勝手に仲間と思い込んでただけで)…」ということ。この赤線部分を補って読み解けるかが非常に重要で、このシーンや今までの彼の行いだけを見て、誤解している人も多いかと思いますが、惣一さん側に立ってみれば、『相手を過度に信じていないだけ』。ただそれだけです。
アドラー心理学の「課題の分離、信用・信頼」のところと似ていますかね。
冷酷なように聞こえるかもしれませんが、この「相手を過度に信じていない」ことこそが相手を一番思うことにつながるのかなぁと。私も見習っていきたいと思います。

 

最後に
ここまで、私の視点から、石動惣一を見てきましたが、人体実験を行ったり、自分を頼りにしている者を少し行き過ぎたやり方で突き放したり、劇中でやっていることは許されがたいところもあると思います。第6話で龍我に対して「あいつはただ、不安なんだよ。だから、自分がこうありたいという人間を演じてる。けど、あいつは喜びや慈しみを知る一方で、俺たちじゃ計り知れない孤独を抱えてる」というセリフがありましたが、あれは戦兎のことを言う裏で自分自身のことを指していたのかもしれません。

最後まで読み進めていただき、ありがとうございました。それでは、チャオ!