巧妙な『三つ巴』

2月11日からスタートした「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー(以下ルパパト)」。私が普段見ている仮面ライダーとは違い、戦隊モノは、どこか子ども向け意識というか、結論(オチ)が幼稚というか。なんかダルいなぁ~と感じてしまうのが常でした。
しかし、ルパパトは、最初から合計6人が対立構造かつ、彼らの共通の敵組織「ギャングラー」もいるという、『三つ巴』の構図。しかもYoutubeのPR動画が何か今までとは醸し出す雰囲気が違うから見てみようと思ったら、面白い。

 

シナリオ面の課題としては、警察という、表面上「悪」を許せない立場にある3人が(特に赤)ちょっと訳ありな怪盗ならぬ”快盗”たちに何を感じ、どう関わり、どのような決断を下すのか。その辺が見ものかなと。
パトの赤である、朝加圭一郎は、クソ真面目に犯罪ゼロを目指そう。やれば出来る!という意志が今のところ強いようですが、現実に考えても、警察官の盗撮・セクハラ行為や、果ては自分たちの出した結論が誤りだと認めたくはないと理由でえん罪を作り、事件そのものを隠蔽する など。ハッキリ言って、本気で犯罪ゼロは、いつまでたっても成立しません。人間って、素晴らしい凄まじい力を秘めている反面、普段は愚かですから、仮に犯罪ゼロのような社会が実現したとしても、そのうち何も起こらない平和な社会に飽きて良からぬ行動を起こすだろうと思います。平和が何よりも尊いと分かっているのにかかわらず です。  このような人間の特性を踏まえたうえで彼らの成長を見守っていきたいなと感じています。

一方の快盗の方は、兄や恋人、親友など彼らにとって大切な存在をギャングラーによって奪われています。彼らはこの若さながら、人間やその周囲が持つ「闇」の部分を知っています。見ていると、彼らは決断が速い。まさに、”快い”んです。
また、彼らの中では、「窮地に陥っても、自力で切り抜ける」という取り決めがなされているようで。これは、警察などの組織(上からの命令や、組織独自のマニュアルに沿って行動するという他力任せ)との対比と考えると、後者が多い実社会に対する、これでいいの?という問いかけや風刺のような気もします。
一方で、彼らには人間の持つ「光」の部分に触れられたら、内なる不安や恐怖も、少し楽になるのになぁ。と感じます。彼らを快盗に引き込んだ、温水洋一さん扮するコグレ。彼もまた、同じようなことを考えているのでしょう。だから警察にVSチェンジャーを渡し、快盗に警察が対抗できる手段を与え、現在の三つ巴の状況を作ったんだと私は思いました。
しかし、コグレの腹の底は私も読めません。昨年放送された「仮面ライダーエグゼイド」でも触れていましたが、我々の生きる現実世界では、一度死んだ者は蘇りません。それにもかかわらず、「ギャングラーからルパンコレクションを奪還することを条件に、消失した人々を取り戻す」って。どこまで本気なんでしょう。彼らを別の目的のために利用しているとしか。
私的には、彼が仕えるアルセーヌ・ルパンの末裔=現ギャングラー当主、ドラグニオ・ヤーブン という展開も面白いなと。

 

その、ドラグニオ・ヤーブン率いる「ギャングラー」ですが、これまた味があっていい!「異世界犯罪者集団」なんていうから、どんなワルが出てくるんだと身構えていたら、ボスの色気のある声にすぐさま魅了されました。そして何より皆ボスを慕っており、やっていることはアレですが、組織としてはすごくまとまりのあるいいものだな と感じました。今後彼らがどのような”個性的な悪事”を働いてくれるのか。そちらも楽しみでなりません。

 

 


快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー スペシャル動画